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日本企業社会の転換

by tensyoku on 2015年12月2日

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戦後の日本社会は「企業社会」としての性格が強固であり、国の内外から、社会のあり方や生活の仕組みが「会社主義」や「企業主義」によって支配されていると指摘されてきました。

それでも70年代までは、国民も勤労者も、企業から多くの恩恵を受けていました。

総枠で捉えれば、いわば企業の成長とともに個人の生活が豊かになるという状況が期待されていたのです。

ところが80年代に入ってからは、いわゆるバブル経済のあおりで、経営もまたバブル化してしまいました。やればやっただけ収益があがるのですから、企業は、新創業だ第三の創業だといって、事業の多角化や業容の拡大や新規参入に精を出しました。

そのため社員は働きづくめの生活を強いられ、超過勤務や深夜帰宅が常態化する始末。統計をあたってみると、製造業の生産労働者の場合、年間実労働時間は2189時間となっています。

ちなみに同じ年、ドイツは1642時間、フランスは1647時間。そして97年、日本は1983時間となっています。

国民生活審議会総合政策部会は「個人生活優先社会をめざして」と題する中間報告を公にしましたが、日本社会の現状が企業中心社会になっているのは、企業など組織の存在が拡大しすぎ、その目的や行動原理が個人や社会のそれに優先し、個人生活の自由度が制約されている社会だからというものでした。

一方、目指す「個人生活優先社会」とは、人間としての多面的な側面を持つ個人が、各々の価値観に応じて自己実現を試み、多彩なライフスタイルを志向する社会だと規定しています。項目として列挙すれば、

1.個人を中心とした価値観の形成
2.個性化と多様性が尊重される社会
3.公正な社会
4.充実した社会的消費
5.新しいコミュニティーの形成
6.個人、企業、社会のよりよい関係が実現されている社会

ということになります。そういった社会の実現を掲げる経済審議会の「生活大国5ヶ年計画-地球社会との共存をめざして」が閣議決定されました。

これに先立って産業構造審議会は、討議をふまえて「90年代の産業政策 供給重視・経済効率重視を超えて」をとりまとめ、「いわゆる企業型社会の反省」が必要だとしています。

企業の発展、経済の発展がそのまま個人の豊かさへつながっていないというのです。

「現在の我が国の状況を見ると、国民の価値観が変化する中で、我が国の経済力に見合った豊かな国民生活が実現されておらず、近年、経済の発展と国民生活との間に大きな不均衡が生じている」と述べ、さらには

「元来、政治や産業活動を含め、あらゆる社会制度、経済制度に最終的な目標があるとすれば、それは、生涯にわたって個人の能力を開発し、かつ、それを自由に伸ばしていくことに尽きると考えられる」としています。

当時における経済活動や企業行動の実態に対して、施策担当者が、きわめて大きな不信と危機感を抱いている様子がよく伝わってきます。

現役転職コンサルタント

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