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キャリアに磨きをかける

by tensyoku on 2014年8月3日

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「人生山あり谷あり」ということもよく言われます。楽しいこと、うれしいこともあるけれど、苦しく辛いこともたくさんあるのが人生だということでしょう。しかし、その意味するところは、必ずしも一様ではありません。

人生にはいろいろあるのだから、あくせくせず、慌てふためくことなく、泰然としていなさいということでしょうか。

人生で問われるのは、うまく事が運んでいるときではなく、苦しいこと、辛いことにどう対応し、それをどう乗り越えるかこそ大切だということでしょうか。

人生は一直線に進むものではなく、思いもよらない出来事に出くわし、予期せざる事態に追い込まれることがあるものです。安住せず、常に学習と備えが必要であるということでしょうか。

このことに関連しますが、人生は、自らの意志でコントロールできるものではなく、人為の及ばざる対象であるということでしょうか。

この最後の点については、後にもっと突っ込んで論じてみたいと思いますが、従来から人生論における大きなテーマです。ここで一言だけふれておけば、人生のコントロールについては、それができるか否か、可能かどうかが本質的なテーマではないという捉え方が一般的のようです。

自分の生き方は、自分が責任をとる。人の生き方は、自分の問題として本人自身が対処すべきものであるということです。

これ以外の読み方も当然あるでしょう。それにしても、「人生山あり谷あり」というメッセージは、人生訓ないしは人生哲学としての色合いが濃いものです。

生き方を論ずるにあたって哲学は不可欠であり、生きることのビジョンやミッション、理念や理想や思想が重要なテーマである点は明白です。個々人の生き方に則して言えば、こういったものをしっかり身につけていない生き方は、根無し草のように不安定なものになるはずです。

とは言っても人生は実践であり、現実です。したがって生き方を論ずるにあたっては、あわせて、人生に関する客観的なアプローチが必要になります。人生とは何かを客観的に説明すること、生き方のメカニズムに関する論理的解明が不可避です。

再言するなら、あくまでも人生に関する哲学やビジョンを提示することの大切さを前提にしたうえでのことですが、生きるとは人間のどんな生活行動であり、人間のどんな意識が生き方を現実のものにしているかを明らかにする必要があるということです。

そう考えるとき、人生や生き方をキャリアの概念で把握しようとするアメリカの生き方論は、有意義にして有力であるように思います。

これに相当する捉え方や概念が、わが国にはありません。そこで英語のキャリア(career)をそのまま使うことになりますが、浜口恵俊氏によれば、ラテン語の「競路」がその語源ということです。しかし19世紀中頃からは職業上の前進、あるいは職業それ自体の意味となり、さらには一個人の生活の向上をも指すようになったと言われています。

日本では、「個人が職業上たどっていく経歴」(『新社会学辞典』、有斐閣)というように、職業や仕事とかかわらせた使い方が一般的です。「職業的人生」(同)や「職業的経歴」(浜口氏)等もそういった使い方の例ですが、アメリカでも当初はそうでした。

しかし近年では、人々の生き方の全体を視野に収め、一個人の生活の向上といった意味合いで使われるようになっています。つまり、work career からlife careerへということです。職業生活がその中心に位置づけられたキャリアが前者、生活の全体を対象にし、人生の全体を組み込んだキャリアが後者と説明したらよいでしょうか。

なお浜口氏は、個々人の生涯経歴をパーソナル・キャリア、対人関係の側から浮き彫りにされた経歴をソーシャル・キャリア(社会的経歴)と表現しています。浜口氏から見ると、個人の生き方や経歴は対人関係や対人的脈絡を通して形成されるからして、キャリアとは基本的に社会的経歴と見なされるものなのです。一目でキャリアと言っても、子細に見れば、その概念はこのように多様なものです。

話を戻せば、人生や生き方は、キャリアの概念で把握するとき、なぜ有意義であり、有力なのでしょうか。

それは第一に、生き方が人間の行動に則して具体的に捉えられ、地位がもたらす役割行動を通して内容的に語られているからです。詳しくはあとから述べることになりますが、同時に家庭人であり地域人であり組織人である一個の人間として、学習をし、仕事をし、ボランティア活動をし、人を愛するといった役割を要請されることを通して、人々はそれぞれにキャリアを形成していくのです。人々の生き方や人生は、そういったものとしてのキャリア概念を通して検討されるので、文字通り実証的なテーマとなっています。観念的な生き方論や人生訓で終わっていません。

第二にキャリア論は、生き方に関する方法論を持っているということです。冒頭の部分で、「一度限りの人生だから悔いのないように」というメッセージのことにふれましたが、悔いのないようにするにはどうするかに関する一定の処方便を、キャリア論は持っているということです。

また「人生山あり谷あり」というメッセージにもふれましたが、そこで言う山や谷を分析し、診断するための用具をキャリア論は持っています。分析や診断のための用具を持ち、処方便を書いて示せるということは、生き方を論ずるうえで有意義であり有力であるということになるでしょう。

参考にしてみてください。

現役転職コンサルタント

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